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旅行記
西欧の旅(II)
Europäische Reise
大藤 敏三
1
T. Daito
1
1日本医科大学耳鼻咽喉科
pp.257-268
発行日 1962年3月20日
Published Date 1962/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492202827
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羅馬建国のロモロRomulusを憶う
古代ローマそして近代ローマ。ローマを訪れた人は此の二様の感覚から恐らくはぐらかされる。3000年前の古代ローマの遺跡が眼前に今尚厳然と残されているかと思えば近代の明るい高層のアパートやCinzano,Cocacolaの看板迄も,夜は眩ゆいネオンサインの密集する街路に点滅しゴタゴタしている事に違いは無いのだが,そこにローマらしい調和がある。過去の歴史と現代,詩情と現実との交錯が南欧的のムードに融け合つている中に庶民が生活している。観光バスが通つて世界各国の男女が黒いサングラスをかけて軽装で通る。タともなれば街路の小路から何時とはなしに,現われる若い男女のさざめきが生命の歓喜に燃えて誰はばからず話し興じて行く。勿論清潔な感じで成長しつつある若い人達であろう。老人の一対も仲良く通る。独り者の日本の旅行客は所在なげに呆然と見送る。
西欧文化の渕源はギリシャ,メソポタミヤ,エジプトそしてローマに根を下して発展した。中核のローマなくしては人類の文化史は空白となる。
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