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I.緒言
オージオメーターを用いて聴力を測定しようという場合に,まず第1に問題になるのは検査室である。この点に関して,文部省科学研究費聴力測定法の規準研究班(昭和31年)では次のごとく発表した。「測定は原則として防音室内で行う。(以下解説)測定場所は騒音のない場所がよいので防音室内で行うことを原則とする。騒音が30phon以下の場所では測定値に対する影響は認められない。それ以上の騒音のある場所ではいろいろの影響があらわれる。しかし現実の問題として騒音のある場所に於て聴力測定をしなければならない事も多い。この際は40phonまでは最小可聴値の測定に対する影響が比較的少いので40phonまでは測定に耐えるものとした。しかしこの場合は測定値に影響がある事は当然なので,その際騒音下における正常者の最小可聴値10耳の平均値を記載して参考資料とする。」以上である。
この説明は非常に詳しく親切であり,また誰にでも応用できるように平易に解説してあるが,きわめて厳格な意味では正しくない,あるいは不完全な表現を含んでいる。たとえば,「測定は防音室で行う」としてあるが,防音室とはどのような部屋をいうのかが明らかにされていない。また30phonまでは測定値に対する影響は認められないとしてあるが,これは正しくない。さらに40phonまでは測定に耐えるとされているが,それ以上のときは全く測定できないかというと,必ずしもそうではないのである。
The author discussed the relation between the audiometry and the soundprotecting ability of the room which is generally called as "sound proof room", and the author's opinion about the method of evaluating the "sound proof room" as a room for the hearing test and the standerdization of the hearing test room were stated.
In conclusion, following values were suggected as the adequate sound protecting effect for the "sound proof room" to carry out the ordinally hearing test safely. That is :
30db for 125cps, 35db for 250cps, 45db for 500cps, 45db for 1000cps, 45db for 2000cps, 40db for 4000cps, and 20db for 8000cps.
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