- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
I.はしがき
ろう者に対する教育及び厚生補導の対策は最近次第に大きく取り上げられるようになり,一般社会の関心も深まつてきつつある。これら不幸な小児たちの特殊教育に対しても非常に協力的となつて来た。しかし,聴覚に対する治療的効果はろう児の内耳神経装置の変性状態からして今日の医学では期待出来ず,また発語に対する訓練も医学関係のもののみでは大きい進歩をもたらすことが不可能であることなどの理由から,医学の広範囲にわたる研究が進歩して行くに拘らず,この方面の研究は非常に遅れていることは否定出来ない。
われわれは医学に携わるものと教育,心理,言語などの専門家たちとの緊密な連絡のもとでこの方面の研究が進められることを強く念願するものであるが,一応医学的方面から種々の項目にわたつて,ろう児の系統的調査を行つている。京都府立ろう学校の先生,保護者の協力を得て,約300名の学生,生徒を対象として,1)遺伝的関係,2)原因疾患,3)一括してろう者として取扱われているもののうちに,先天性ろうと後天性ろうとがどれほどの割合に存在するか,4)ろう者として教育されているもののなかに残聴保持者がどれほどあるか,5)I. Q. と発語との間の相関関係,6)前庭機能検者の成績,7)ろう児の発声時の構音器官の協調状態,8)音声に含まれる周波数の偏倚性などの諸項目について検索をした。
The degree of articulation was tested with prepared test-words at a set rate in 171 students of the deaf and dumb school. Individualreponses were recorded in taperecords ; these records were each played back to a person of normal hearing for clearness of dilivery and rated according to their results. Fowler's classification of word-hearing F: 100% and F: 70%, was used. In the age group belonging to second year High School F: 100% numbered 21.5%, sixth year Primary Grades 11.3% and third year Primary Grades 9.7%. It was obvious that as the individual grew older the speech-words became clearer in dilivery.
Copyright © 1961, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.