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十二指腸虫症を証明した頑固な鼻出血治験例
原 薫
1
,
小林 幹郎
1
1名古屋市立大学耳鼻咽喉科教室
pp.127-130
発行日 1961年2月20日
Published Date 1961/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492202614
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I.緒言
鼻出血は日常屡々遭遇するもので,ただ何となく簡単に治療して余り気にもとめないことが多いものであるが,症例によつては甚だ頑固で,種々の止血剤或は局所療法も効なく,場合によつては重篤疾患の一方症として現れることもあり,耳鼻咽喉科領域の検索のみでなく内科方面との充分な連絡の下に,診断を確立して適切な治療法を行わねばならない。
而し出血の原因発見は容易な様で中には殆んど原因を掴めない場合もあり,特に連日の大出血を見る症例では相当頭を悩まされるものである。中年及高年の頑固な鼻出血例で,一見高血圧症の為と考えられたが,一応止血後十二指腸虫症を証明して,駆虫後全く出血を見ない症例に遭遇したので報告する。
Hara and Kobayashi report 2 cases of sev-ere epistaxis that, in one case, required transfusion and, in the other, a surgical ex-terpation of bleeding parts, in order to esta-blish a complete hemostasis. Laboratory examinations in both bases proved to be ne-gative excepting for ancylostomiasis of which both cases were involved.
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