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鼻洗を局ⅥのRinger液(水道水)で
樋口 武
1
,
関戸 克己
1
1横浜逓信病院耳鼻咽喉科
pp.383-384
発行日 1960年5月20日
Published Date 1960/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492202446
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Gray(1922)はMytilusの線毛運動に,Wenner(1931)は家兎,ラッテの副鼻腔粘膜の線毛運動にCalcium Ionが必要と述べている。Proetz(1934)は線毛運動に対する熱の影響をしらべ,温度は28°〜33°が最適と述べている。そこで吾々は鼻洗には生理食塩液よりもRinger液の方が良いのではないかと考え,昭和29年5月(1954)以来5ヵ年間,水道水でRinger液を作つて鼻洗を行つて来た。
本来Ringer液は重曹が入つているのが特長であるが,この重曹が分解しやすい為に保存に難があつて,製作後直ちに使用するか,またはガラスのアンプレ内に密封しておく必要があつた。しかし昭和26年3月1日(1951)日本薬局方が改正された時に米国の薬局方にならつて,Ringer液から重曹を取り去つて了つたので第六薬局方(通常局VIと略す)のRinger液の保存は生理食塩液の保存と同じになつた。それ以後に市販されているアンプレ入りのRinger液には重曹は入つておらず,1000cc中にNaCl 8.6,KCl 0.3,CaCl2 0.33入つている。なお第六薬局方では生理食塩水も生理食塩液と名を変え0.85%から約0.9%に変り,塩化カルシウムも6水塩(CaCl26H2O)と25%溶液をやめ,2水塩(CaCl2. 2H2O)のみを採用している。
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