ベロツク氏止血法の変法と1止血法

　I．緒言

　我々が日常救急患者として取扱うものは疼痛，出血，呼吸困難であるが，三者共耳鼻咽喉科と関係の深いものばかりである。就中出血は鼻出血が主なもので，術後性のものも含めると最も救急処置として重要であろう。永い間使われて来た止血法にBellocq氏のタンポン法があるが，緊急の場合之を用いると金属製であるために，（1）疼痛を伴う，（2）固有鼻腔の相当な広さを必要とし，鼻中隔彎曲症，肥厚性鼻炎，鼻茸等のある時は使用しにくい，（3）先に出血の処置としてガーゼタンボンを行つても尚出血のある場合に，Bellocq氏法を行う時はガーゼを除去せねばならないし，除去すれば出血が多くなる事が屡々である，（4）相当に熟練を要する等の点から私は次の様に簡単で以上の欠点を緩和しうる法を考案，使用して良好な結果を得たので報告して見たい。

In order to place nasal tampon to stop a severe nasal hemorrhage the author devised a solid rubber Nealton's catheter, which may be used instead of Bellocq's tube, to which a nitch or a groove may placed at its distal end for the purpose of threading a silk suture. The suture is drawn out through the nose and the tamponade completed. The rubber material may be interchanged with that of plastics.