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1.緒言
顎下脈混合腫瘍の頻度は耳下腺のそれに較べて可成り少く,腫瘍の臨床的診断は唾影法が普及しない以前はAhlbom等が強調する様に,顎下部淋巴腺の拡大との鑑別に至難の事が多い。例えば小林の肺結核患者の1治験例は顎下部淋巴腺結核と予想され,手術により本腫瘍なる事が確定した。又私は恩師北村教授の命により316回東京地方会で顎下腺腫瘍4例の報告を行つたが,その中混合腫瘍の1例は同様に顎下部淋巴腺結核として長期間深部治療を受け,効果がなくて唾影法により腫瘍の診断を下し,手術治癒した症例であつた如くである。唾影法が唾液腺殊に日常顎下腺に於いて,その周囲疾患の鑑別に屡々役立つ事のあるのは,既に石浦・布施の報告した所であるが,私は最近再び此の方法で顎下腺腫瘍なる事を確認し,且つそれにより腫瘍の全貌を予想し,容易に全別出し得た混合腫瘍の1例を得たので,直接臨床的事項を主として簡単に報告したい。
A case of mixed tumor of the sublingual salivary gland is reported. For the period of 15 years the patient, a man aged 33, noted a swelling below the left jaw which recently increased to the size of hen's egg. The tu-mor is surgically removed : microscopic exa-mination of the growth showed it to be a mi-xed tumor, no malugnancy was discovered.
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