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最近肺結核,肺癌,気管支拡張症等の診断治療に際して,気管支鏡検査,気管支造影術等,気管内操作を行う機会が多くなつて来た。これらの手技を患者に若痛なく且,安全確実に行うには,術者の充分なる習熟が必要な事は論を俟たないが,これにのぞむ患者の恐怖心除去,更に咽頭,喉頭,気管内の麻酔が,迅速,強力,且,安全に行われなければならない。従来,この局部麻酔には,専ら塩酸コカインが用いられ,現在も尚多く使用されているが,本剤は,粘膜表面麻酔剤としては極めてすぐれた麻酔効果を有する反面,時に重篤な急性中毒症状を起し,術者は常に,この急性中毒に対する不安感を念頭から離す事が出来ない。これに代つて,テトラカイン,プロカイン等も使用されているが,副作用は少いが,麻酔効果に劣る欠点がある。先頃,コカインに比して劣らぬ麻酔効果を持ち,且,副作用の極めて少いといわれるキシロカインが,瑞典で作製され我邦においても,耳鼻科領域,更に気管内操作に対して用いられるようになつて来た。我々は最近,これを便用して,気管支鏡検査,気管支造影術を試み,その優秀性を認めたので報告する。又更に,今回気管支鏡検査実施例中100例につき,施術中およびその後における患者の若痛などについてのアンケートを行い,これを集録し得たので,あわせて記載する。
対照は社会保険北海道中央病院入院中の肺結核患者で,気管支鏡検査♂89,♀52,計141例,気管支造影術♂75,♀37,計112例である。
Fukuda and Ishio report of their experience in use of kisilocain for attaining adequate anesthization of the larynx and trachea in bronchoscopy. Cocain solutions which has been generally employed for this purpose is not devoid of acute toxicosis; no side effect is noted with kisilocain. And this agent is considered to be the most ideal for purposes of bronchoscopic procedures. Various facts on the use of kisolocain arc presented and discussed.
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