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今月の主題 クローン病(3)―疑診例を中心に
総合評
クローン病疑診の症例をみて
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八尾 恒良
1
,
武藤 徹一郎
2
,
若狭 治毅
3
T. Yao
1
1九州大学第2内科
2東京大学第1外科
3東北大学医学部第2病理学教室
pp.1696-1699
発行日 1978年12月25日
Published Date 1978/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403107579
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①臨床所見から
前回取り上げられた腸結核疑診例につづいて,本号ではクローン病疑診例が取り上げられた.
クローン病の疑診例は腸結核のそれと異なり,その解釈がむずかしい.すなわち,腸結核では結核菌の証明,乾酪性肉芽腫など,その所見があれば腸結核としてよいという“腸結核の証拠”が存在し,治療面でも抗結核剤投与による病像の推移を知ることができる.そして,その疑診例ではX線像や肉眼所見,病理組織構築などの面で確診例にその類似を求めればよい.しかし,クローン病では,その確診例としての根拠が“全体の病像”といった曖昧模糊としたものであり,この所見があればクローン病としてよいという決定的なものを欠いている.たとえば臨床所見にしても,腹部症状や炎症所見の有無・程度は種々であり,X線所見や切除標本肉眼所見(ことに大腸)も典型的な所見がみられるものはあっても必ずしも特有なものではない.
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