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アレルギー性鼻炎・副鼻腔炎に対する抗アレルギー剤メトロンコーワの効果
坂倉 光蔵
1
,
水谷 雅俊
1
,
鈴木 俊一
1
1川崎市立病院耳鼻咽喉科
pp.1089-1093
発行日 1962年11月20日
Published Date 1962/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492202966
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I.まえがき
急性或は慢性鼻炎,副ビ腔炎は細菌の感染症と考えられ,種々のサルファ剤,ペニシリン等の抗生物質による化学療法の成績が報告され,それぞれの効果を得ている。然してそれは必ずしも満足すべきものではない。19世紀の初頭アレルギー学説が起り,その発達にともない,今まで感染症のみと考えられていた之等の鼻の疾患にもアレルギー変化があることを認め,鼻炎,副鼻腔炎に対してアレルギーの立場からも検討され,沢山の研究発表が行なわれ,今日ではアレルギーも副鼻腔炎に対して細菌感染症と共に大きな役割を演じていることは疑いのないことであり,その治療法も化学療法に対して,抗アレルギー剤を使用した治療法もかなり報告されるようになつてきた。我々は以前に抗ヒスタミン剤としてレスタミンに就いて又アルチウス抑制剤としての強力ミノファーゲンの使用経験に就いて報告したが,此度抗アレルギー剤として前二者に比して少し薬理作用の異なつた即ち抗ヒスタミン作用よりも,むしろ毛細管透過性低下作用を強力にもつ,メトロンコーワに就いて,及びこれ等のことなれる抗アレルギー剤の併用,更には抗生物質との併用療法の経験を得たので此処に報告する次第である。尚臨床観察を便利にする為に次の四群にわけて成績を検討した。
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