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頑固なる乳幼児中耳炎に対するV. B2劑の治療効果
栗田 吉栄
pp.35-36
発行日 1956年1月20日
Published Date 1956/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492201482
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乳幼児中耳炎は遷延性の傾向をとつているもので現在の化学療法や局所治療に強く抵抗して仲々治らず困却することは諸家の等しく経験せられていることであろうと思う。それには乳幼児の年齡と共に個人的な体質に多くの原因があるのではないかと思う。この意味から斯る例には私は化学療法にのみ頼らず,更に体質的治療法を試みんとして先ずV. B2剤を用いてみた。V. B2は成長促進ビタミンであると共に皮膚の抵抗と密接なる関係をもつているのであつて,このためにChokola. BBの注射を試用したところ,何れも著明な効果を認めたので,集録した自験14例と共に報告する。
観察した症例は従来の局所及び化学療法にて2,3週間に及ぶも軽快しなかつたもの,或は他医にて一ヵ月或はそれ以上治療を受けたが治癒に至らなかつたため来院して来たもの等で,何れも少くとも油性ペニシリン3乃至4筒,或は更にストレプトマイシン,マイシリンの注射をも受け,併せて各種サルフア剤の内服及び局所的使用を受けて尚効果の見られなかつたもの等の14例であつた。之等の例では本剤の効果を見るため本治療中は局所は単に清拭,ボール末吹粉を行うのみで,他の藥剤は一切使用しなかつた。尚本剤の注射は毎日1筒20mg宛連日使用した。以下効果著明なる症例数例を摘録する。
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