- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
結核の化学療法剤であるストマイ(ストレプトマイシン及びジヒドロストマイを含める)が,その副作用として聴器障害を起す事は既に一般に認められており,この事に関しては多数の観察がみられる。
ストマイの聴器に対する副作用としての前庭機能障害,聴力障害の中後者の聴力障害について,漸く一般の関心が高まつてきた様であるが,聴力障害の発顕についてはなお患者の難聴自覚に頼つている傾向がある。然しストマイに依る聴力障害の発顕は,最初日常会話に直接関係のない会話音域をはずれた高音域で始まり,それより漸次会話音域に及ぶ傾向があり,患者が難聴を自覚した時は既に相当高度の聴力障害を起している事が多いので,聴力障害発顕の有無を患者の自覚に頼つている事は危険である。又ストマイに依る聴力障害は,その大多数が水久的で恢復しにくいとされている事,更に最近は従来のストレプトマイシン(以下SM. 略記)より前庭機能障害は少いが,聴力に対しては更に毒性の強いとされるジヒドロストマイ(以下DHSM. と略記)が広く普及しているので,この重大な副作用としての聴力障害の早期発見に対して更に強い関心が払われなければならないと思う。
Ichikawa states that, excluding the hearing loss that might be caused by advancing age, there are about 26% in the number who are found with loss of high tone hearing among patients treated with streptomycin therapy. The outstanding loss seems to be in the pitches C5 and C6 but it is often manifested beginning wich C4. There are a few in whom the loss is found to be an unilateral involvement, and again, that in whom the loss appear to be a sequela delayed after the comletion of the therapy.
Copyright © 1955, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.