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幼兒用聴力検査の1方法
水河 忠敬
1
1岡山大学医学部耳鼻咽喉科教室
pp.175-177
発行日 1955年4月20日
Published Date 1955/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492201302
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吾々が聴力検査を施行する際には,専らオージオメーターに依存して,大体の難聴の程度や種類を定め,その後,種々の精密検査によつて,障碍の部位を確定するようにしている。併しながら年少者を検査する際には,甚だ頼りにならぬデーターが出るもので,此の為に吾々は学童の集団聴力検査を行う場合常に3年生以上の者のみに限定しているのである。勿論それ以下の年令者に於ても悠つくり調べる場合は,割合に精確に答えうる者も多いのであつて,大体5-6歳位でも,之を行いうるように思うが,此年令以下の者では,その成績を信頼してよいかどうか判定し難い場合や,返事さえしてくれないから,此検査を行い得ない場合も多いのである。
オージオグラムを取る際は,各種純音で最小可聴域測定しているのであるから,之が聞えるか否かの限界を決定するには,相当時間がかゝり,且その間緊張して聞かねばならぬ。従つて幼児に於ては,厭きがくるし,注意もむけられなくなるようである。又無意味語の言語了解検査でも,注意力の散漫な為め,聞き誤る事も多いし,数多く行う中には,厭いてもくるようである。従つて私は2個の単音からなる有意味語を用いて,或程度の興味をひかしながら,厭きの来ない中に検査を終らすようにしたなら,大体の難聴の程度が判るのではないか,又言葉を真似し得る子供なら,誰にでも此検査を行い得るのではないかとの考えから,テープレコードを用いれば,極めて簡単な方法で,効果があがるように思うので,茲に之を招介する。
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