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鼻化粧/どんな音にも驚かない耳
K
pp.294
発行日 1954年6月20日
Published Date 1954/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492201149
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当今,婦人の化粧を説いた本には,何れも鼻柱の低いものは,鼻柱に白粉をこく塗ることで,高く見えるからであると云つている。鼻の化粧は昔から説かれたものと見える。室町初期の古書「めのとのそうし」に,婦人の化粧法を説いた中に,鼻の化粧について,「はなは,人の顔のうちにさし出てたかく,めにたつものにて候,あひかまつてしろくおんけはひ候,さし出て見にくき物にて候」(群書類従卷477)とあつて,鼻柱に,白粉をぬれば,高く見えて見悪いものであるから,必ず塗るべからずと教えている。此の頃は鼻の高いのは見悪くいものとして,好まれなかつたと見える。また応永年代の古書「身のかたみ」という婦人の化粧を説いた本に,耳と鼻とについて,第4.御みゝはおんぐしのはづれよりありありとさしいでたるは,みにくきものにて候,おんぐしのびんのわきよりいでたる筋を十すぢばかり御とり候て,かみよりかかりたる御びんを,やまとぐしにて,みぐしけづりかけられ候てうつくしうかゝり,みみはさしいて候まじく候。
第5.御はなは,顔のうちのぐに,とりわきさしいりに,めにたつものにて候,けしようのうちにて御心ををそへられ候へ,こくしろくあそばされ候な,よそのところよりはちと薄く御けはひ候べく候。
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