--------------------
口腔及び咽頭の釀母菌性潰瘍(深在性Monilia症)に就て
後藤 敏郞
1
1長崎医科大学
pp.257-263
発行日 1954年6月20日
Published Date 1954/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492201138
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
従来我が国に於て釀母菌症Blastomycosisと呼ばれていたものは戦後には専らモニリヤ症Moniliasis又はキヤンデイダ症Candidiasisと呼ばれて報告されているために,新しい疾患が抗生物質の使用によつて登場して来たかの印象を受けているものも少くないようである。戦後真菌類疾患の分類が米国学派の影響を受けて,我が国に於ても変化していることは確かであるから,この時に当つて,我々の領域に於て口腔,咽頭の釀母菌症と呼ばれてきたものは,抗生物質の出現によつてどんな影響を受けたか,又真菌学Mycologyの上から見て,どんな位置にあり,どんな病名で呼ばれたらよいかということは考えてみる要があると思つた。更に,我々の釀母菌症と呼んできたものはどんな疾患であり,その潰瘍はどんな特徴をもつているかを明かにすることが必要であると思つた。従来文献に発表された内外の報告例は極めて少く,且つその病状の記載が一定していないために,文献を通覧したのみでは,上気道粘膜の釀母菌症はどんな疾患であるかということは全くわからない。
私は教室に於ける研究15-20を基礎にしてこれ等の問題に就いて考えてみた。臨床家各位の参考に供し,本疾患がもつと注意されることを望んで茲に記載することにした。
Copyright © 1954, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.