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アイオワだより(第3信)
中村 四郞
1
1日大
pp.352-354
発行日 1953年7月20日
Published Date 1953/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492200935
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手術室から
手術室に廻つてくる患者を疾患別にしてみますと,最も多いのは悪性腫瘍,それから整形手術―このうちには兎唇,口蓋破裂,鼻整形その他が含まれます―,これにつぐものは耳硬化症,慢性扁桃炎,アデノイド(こちらではadenoidectomyといつてadenotomyとはいつておりません),慢性中耳炎,それから副鼻腔炎,その他の小手術という順に減少しているようです。もちろん,これは統計的に正確な數字をもつて示したわけではありませんが,日常私が經驗する感じからの判斷であります。
こう並べてみますと,日本のそれとは手術頻度がだいぶん違つていることに氣付かれることと,思います。尤も手術數は,その大學のもつ特徴によつて支配されることが多いですから,必しもこれがアメリカにおける共通のものだとは申し上げられません。例えば,當大學では整形手術數が非常に多くなつていますが,これは,これを擔當する専門教授が活溌にやつているためだからだと思われます。それにしましても,殆んど毎日Bronchoscopy(Esophagoscopyも含めて)が3〜5例ありますが,その多くがbronchiogenic Lung-Cancerであることを考えますれば,この國においては耳鼻科領域の疾患に,いかに悪性腫瘍が多いかゞ想像されると思います。
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