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側頭蜂窠の發達の良否は,何に由來するかと云う事に關しては,種々論議され,或は潜在性の炎症によるとし,或は遺傳,體質によるとしている。現在遺傳,體質によると去う説の方が多數の支持を受けているが,此の説に讃同する人も,所謂潜在性耳炎が病的なものであるか,生理的なものであるかに就いては,特に検索していない樣である。胎生期より幼年期に及ぶ比較的長期間にわたる炎症樣像を病的なものであるとするならば,Wittmaackの説も考慮に入れなければならなくなる。私は先に胎兒及び新生兒に於いて,中耳の被覆組織中に骨髄組織が出現している事を明にし,此の組織中の圓形細胞が浸潤細胞とされていた事を述べた。然し乍ら之等骨髄組織中の細胞の他に,胎生期の初期から74才の老人に至る迄,中耳或は蜂窠の被覆組織中には細胞浸潤を見るのである。之等細胞の出現は,或る所では少なく,或る部位では多く,又或る時期には少なく,或る期間には多いのであるが,其の本態に就いては,末だ明にされていない。以下骨髄組織中の細胞を除外して,中耳及び蜂窠の被覆組織中にあらわれる圓形細胞或は多形核白血球等に就いて,私の追求した點を簡單に述べよう。
人胎児では,胎生3カ月には中耳の厚い鬆粗な粘液樣組織に血管新生を見るが,又同時に血管周邊或は稍々離れて少數の圓形細胞が存在してゐるのを認める。之等圓形細胞は,大體胎生6カ月位迄は多少の増減はある事もあるが,さほど著しい變化は見られない。
TSUCHIDA maintains that latent otitis media which was described by Wittmaack and, heretofore, considered as a cause that retarded development of temporal bone air cells, because of its inflammatory-like manifestations, is not an inflammation in the true sense of the word. Consequently, it is incapable of exerting influence that might cause a difference on the development of air cells in question.
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