- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
緒言
鼻腔,副鼻腔の良性腫瘍中比較的稀なものと言われる乳嘴腫に就いてそめ文献を見てみると,要するにその上皮の形態及性状に議論の存することを吾々は見出すのである.かくしてその分類,命名に關して諸學者の説も一定せす,Hopmannの分類の下に於ても硬性乳嘴腫(Papilloma durum)に封してFibroepithelioma papillare,gutartiges Zottenkrebs,Epithelioma papillare等の名稱がつけられている.本邦にても小此木氏は乳嘴腫をFibroma papillare,Epithelioma papillareとに分類している.このような分類,命名の中には現今吾々の有する腫瘍病理學の知識と一見矛盾するようなものもないではない.然しながら私は本稿に於てその批判を行おうとするものではないのであつて,只上顎洞に發生し癌性變化の途上にある所謂惡性乳嘴腫の1例の經驗からして,諸家の行つたその上皮の病理組織學的檢索に一瞥を與えて以て自らの知識を整理しようと思うのである.
Sakamoto reports that a papilloma which appeared to be on the virge of progress to malignancy is found in the right maxillary sinus of a patient a man 35 years of age. Opinions concerning the morphology of superficial lining of this affection that are held by various authors are discussed.
Copyright © 1951, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.