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緒言
耳管が通常閉じているか,開いているかは耳鼻咽喉科領域に於て爾來議論のあつた課題であるが,現在では通例耳管は閉塞していて嚥下作用や欠伸の際に開くものだと一般に考えられている.然し耳管の生理機能に関しては今日尚不明瞭な点が多々残つている樣であつて,耳管開放症に就てせ余り多くは知られていない.故に耳管開放症を1つの疾患としてとりあげている教科書は我國で全く無く,外國に於ても極めて少く,從つて一般臨床家に於ては耳管開放症をかえつて正反対の耳管狹窄症と考えて治療している例が少くないのでいないかと思われる.よく精査するならば本症は案多尠くない疾患で,多くは見逃されているのではないかと考えられる.私共はたまたま耳管開放症の2例に遭遇し,且つ我國の文献を渉猟するに,詳細に報告してある症例を見ないので,此処に興味を感じ報告し諸賢の御批判を乞う次第である.
Takahara and Matsumura report 2 cases of patent pharyngeal orifice of tuqa acustica with descriptions of symptoms in some detail. In these cases the degree of tubal patency is te-sted by Valsalva's method which showed an eqnivalent of 1-2 mm. Hg.. The method of traeatment as ontljned by the authors is tonsi-llectomy as an initial step which may not be followed by Bezold's treatment depending upon the result of effects of the operation.
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