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緒言
從來急性化膿性疾患の治療劑としてはいろいろ藥劑がもちいられて,それぞれ其有效性が報告されているが,其中でも特にサルフア劑及びペニシリン等は耳鼻科領域における急性化膿性疾患の治療に當つても重要なる役割を演ずることはすでに廣く認められておる處であり,我々も亦それにより多くの好い結果をあげている.そしてこれら藥劑の作用機序は現在なお鮮明し盡されているとはいえないが,大體生體内では細菌の發育阻止的作用にあるといわれている.又副作用の點からいつても,高級サルフア劑やペニシリンでは殆んど申し分のないものであるが しかしあらゆる疾患に對する萬能藥とは云い切れないし,又經濟的見地からみても症例によつてはこの使用を或は躊躇するような場合もある.
一方においてはShwartzman反應(1928)の臨床的應用として,Apitz(1934)や林(1943)の實驗的研究以來臨床的にも大きくとりあげられてきた。そこで私はこれらの化學的療法劑とはその作用機序を異にし主に細網系を中心とした組織の變調作用と白血球,或は網状織細胞の喰菌作用を昂進せしめて生體の防禦能力を増強せしめるといわれるShwartzman濾液製劑であるReticulonを,耳疾患就中急性化膿性中耳炎及び外耳道炎に應用する機會を得たので,茲にその臨床的經過と白血球喰菌作用の増減を中心として得られた成績を報告して大方の御批判を得たいと思う.
Naganuma and Tosabayashi say that by parenteral use of Schwartzman's "reticulone" an extract of reticuloendothelial tissues, the course of recovery of acute otitis media and of chronic otorhea has been considerably shortened. To be effective the therapeutic agent must be used continuously and in large quantities. Staphylococcus was found the most susceptible to its influence, while streptococcus and pneumococcus followed in their order. The action of "reticulone" in the soma is maintained as that of supplementing and aiding phagocytic activities of leucocytes.
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