論説
ヂフテリヤ菌の菌型に就て—第1回報告
秋澤 美子
1
1東京慈惠會醫科大學耳鼻咽喉科教室
pp.41-43
発行日 1946年11月20日
Published Date 1946/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492200009
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
Corynebacterium diphtherieについての研究は内外多數の學者に依つて研究され,殊に1931年Andersonがテルール酸加里を混じた血液寒天培地に3種の異つた集落を見出し,Gravis,Mitis,Intermediusの3型を區別し,臨床症状において,Gravisは重症,Mitisは輕症,Intermediusはその中間に位するものとし,生物學的にも夫々特異な性状を有すと報告した。然しヂ菌の區別は細菌學上の見地からこれを嚴格にいへば極めて困難であり,詳細なる細菌學的檢査を必要とするは勿論であるが,一般臨床醫家にとつては一々斯くのごとき檢査を行ふことは到底不可能であつて,單に臨床所見と塗抹標本とのみを以つて,これを診斷することが屡々であるのも止むを得ぬことである。
最近我教室を訪れた臨床的に,ヂフテリーと疑はれる患者の,咽,喉頭,鼻粘膜より得たヂ菌の型を,常々記載せるものから,その菌型別を觀察し,併せてこれが臨床所見,經過を對比して,臨床的症状と菌型との間に何等かの關係ありや,又,普通ヂ菌といはるゝも,菌型に如何なる種類を認むるや等に就て檢索を試みた次第である。
Copyright © 1946, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.