文献紹介
腎剔前後の腎機能/後腹膜出血
pp.1055,1058
発行日 1966年9月1日
Published Date 1966/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491204478
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以前の研究では鼠,兎,犬について1側の腎剔を行なうと浅在腎に肥大,増生の起ることが知られている。そして20日以内に尿素クリアランスは術前の65〜70%となる。ヒトについては腎剔は1側腎に疾患がある場合に行なわれ,健腎はすでに患腎の減じた機能に対してすでに代償性変化が行なわれている。これに対してわれわれは移植腎供給のために健康人に腎剔を行ない腎剔術後の早期の影嚮について研究した。29人の供腎者に対して腎または系統的疾患のないことを確めた後,次の結果を得た。すなわち,血中尿素窒素と血清クレアチニンはそれぞれ術前に比して26%,33%と増加した。内因性クレアチニンクリアランス,パラアミノ馬尿酸ソーダクリアランスはそれぞれ術前に比して70.5%,70.2%で,腎機能の40%増加ということになる。腎機能と年齢,術後日数とは関係はなかつた。
腎剔後の代償性腎肥大については広く研究されている。Williamsによれば腎剔後40時間で近位尿細管の有絲核分裂率は11倍に増加したという。KessnerとThomasは鼠の腎剔後48時間で腎塊は75%に回復し,尿細管細胞によるトリチウム化チミジン摂取率の100%増加を証明した。これは尿細管細胞増殖率の100%増加を示したものである。Rollisonは鼠の腎剔24時間以内に尿細管上皮の肥大を認めた。
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