Japanese
English
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夜尿症における自律神経機能異常とトリプタノールの治療成績について
FUNCTIONAL DISORDER OF AUTONOMOUS NERVE SYSTEM AND THERAPEUTIC EFFECT OF TRYPTANOL IN ENURESIS NOCTURNA
楠 隆光
1
,
生駒 文彦
1
,
河西 稔
1
,
永原 篤
1
,
永野 俊介
1
Takamitsu KUSUNOKI
1
,
Fumihiko IKOMA
1
,
Minoru KASAI
1
,
Atsushi NAGAHARA
1
,
Shunsuke NAGANO
1
1大阪大学医学部泌尿器科学教室
1Department of Urology, Osaka University Medical School
pp.915-919
発行日 1966年8月1日
Published Date 1966/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491204449
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I.はじめに
夜尿症は小児には,しばしばみられる疾患でありながら,未だに確立された治療方法がない。これは夜尿症の原因が極めて複雑で,多種の要因に由来するためであり,ゆえに治療にあたつては,その成因をよく分折して,それぞれの例に最も則した方法をとることが肝要である。夜尿症は,まづ器質発なものと機能的なものに大別されるが,臨床的に経験される大部分は,器質的には特に認めるような異常所見のない,所謂機能的な夜尿症である。機能的夜尿症もいろいろと分類されているが最近,この中でも自律神経失調が夜尿症の成因に大きな役割を果しているといわれている。そこで我々は阪大泌尿器科において最近経験した夜尿症34例につき自律神経機能検査を行なつて,夜尿症患者の自律神経機能について検索するとともに,これらの症例にトリプタノールを使用して,その治療効果ならびに自律神経機能異常との関連を検討したので,その結果をここに簡単に報告する。
なおトリプタノールは化学名5-(3-dimethyl aminopropylidene)-dibenzo 〔a, d〕〔1, 4〕 cyciopepta-diene hydrochloride,一般名Ami- triptyline hydrochloride C20H23N. HClの白色の結晶であり,作用は向精神薬中感情調整剤として抗抑うつ作用をもつ他,自律神経系に対してはanticholinergicの作用を示すものであるといわれている。
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