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ニューオルリソズが『アメリカで最も興味ある都市』として観光客を集めている理由はNudeとJazzでWorld famousのBourbon Streetや鉄レースのベランダの美しいフランス区,それにミシシッピー用のShowboatなど他のアメリカの都市には見られない独特のムードのせいであろう。American Urological Associationの総会がここで開かれる事は日本出発前から知つていたのでNew York在住の日泌会員全員で出掛けようと計画していたが,斉藤(鹿大),岩動(東大),三宅(名大)の三先生共旅費が出ないという理由で脱落,結局筆者一人がNew Yorkを代表して行く破目になつた。
マウントサイナイ病院からは少額の費用が出たがとても足りないのでバス旅行に決めた。5月7日夜8時Port Authority Bus Terminalを出たグレイハウンドのバスは一路ハイウェーを南下,途中でバージニア州のRi—chrnondとノースカロライナ州のローリー(Raleigh)で乗換え翌朝Duke大学のあるDarhumに着く。ここで慶大皮膚科から留学しているDr.大城戸に会い彼のTri—umphで大学や研究室を案内してもらつた。New Yorkからブラ下げて来た日本酒2本を置いたので身軽となる。このあたりはHalf Dryとかであとで聞いたところによるとその晩さつと日本人が数人集りアッという間に2本共蒸発したというすさまじさ。兎に角その酒宴の頃は小生は2晩目のバスの中で眠つていた。翌朝目がさめるとAtlantaだ。「風と共に去りぬ」を夢中で読んだ昔を思い出しながら街を歩く。数時間後又バスの上の人となりアラバマ州を抜けてメキシコ湾沿いのMobil迄来るとあたりは南国の気配,延々と続く砂浜にはビキニの美人がいつぱい。堂々とラヴシーンを展開しているのを横目で見ながらミシシッピー州を抜けルイジアナ州に入り5月9日夜New Orleansに着いた。一泊3ドル50セント也のYMCAで4日間我慢することにした。固いベッドに疲れた体を横たえ窓から街の灯を見ていると初めて旅の実感がひしひしと迫つて来ると共にバス旅行で知つたアメリカの広さに改めて鷲嘆させられた。
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