後腹膜腔Ganglioneuroblastom（von Fischer）の1例

A CASE OF RETROPERITONEAL GANGLIONEUROBLASTOMA (VON FISCHER)

I．はじめに

　後腹膜腔原発の腫瘍を初めて観察記載したのはMovgagniであると言われ^1）2），その発生頻度は全腫瘍の約0.2％を占めるにすぎないといわれている。楠^1）は（1961）本邦報告例351例を収集しているが，1歳未満の症例は男6例，女5例の計11例にすぎない。一般に後腹膜腔に発生する腫瘍は特有の症状を欠き，ある程度発育増大してから附近の臓器を圧迫ないし転移浸潤して初めて種々の症状を示すものが多い。我々は生後11ヵ月の幼児で，アンギーナと消化不良で受診中，精細な触診により発見された無症候性の後腹膜腔Ganglioneuroblastomの，手術治験例を経験したので報告する。