文献紹介
細網症と前息肉性発疹の調査,他
pp.441
発行日 1964年5月1日
Published Date 1964/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491203767
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本調査の目的は,菌状息肉症が病理学的独立疾患かどうか,および所謂前息肉性発疹は生命に危険かどうかを明らかにするにあつた。調査した126例は,局面性類乾癬38例,偽類乾癬(慢性表在性皮膚炎)21例,多形皮膚症および多形皮膚症様発疹25例,細網症25例,その他17例であつた。局面性類乾癬と甚だ類似するものに慢性表在性皮膚炎があり,多くは鑑別できるが,将来合一するのがよいと思われる。これらを合わせて類乾癬と称すると,その59例中,疑似細網帰に恋じた,のが1例あつたのに対し,多形皮膚症においては25例中12例が細網症に進展した。すなわち類乾癬が多形皮膚症の徴候を現わしてこない限り,菌状息肉症を継発する可能性は甚だ少ない。逆に菌状息肉症の早期に多形皮膚症性皮疹を発見することは屡々である。著者は菌状息肉症の19例を調べたが,このうち10例は多形皮膚症から変じたもの,あるいはそれを併有するもの2例は紅皮症から進展したものであり,他は初めから菌状息肉症と診断された。後者の諸例は人によつては類乾癬と診断するかも知れないが,著者は菌状息肉症と診断するのが正確と思う。これらの組織学的検査は全例菌状息肉症と報ぜられた。多形皮膚症から変じた症例の組織学は菌状息肉症4例,細網症5例,白血病1例であつた。
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