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デンマークにおいては数十年来入院患者の乾癬治療法としてはタール浴が主要方法となつている。また,ここ30年来はタール浴療法の補助として境界線療法がしばしば併用されている。著者はコペンハーゲン大学医学部皮膚科において最近5年間にタール浴療法を施行した乾癬患者248例についての調査を記述している。病型としては貨幣状乾癬が最も多く,次いで滴状乾癬であるが,これは広汎に発疹し,外来治療の無効であつたものである。次に多いのは瀰漫型と混合型であり,後者は滴状貨幣状発疹で,屈側をも侵すものが主であつた。タール浴の手技は,2〜5%サリチル酸・黄色軟パラフィンによつて鱗屑を除去した後,ブナ・タール(Spiritus pyrolei fagi)あるいは粗製コールタール(crude coal tar)を発疹に塗布し,直ちに15〜20分間温浴(約37゜)をとらせる。乾燥後,滑石を撒布し,しばしば軟亜鉛花泥膏を1日1回塗布する。毎日かかる治療を連続する。その結果をまとめると,症例の90%は全く皮疹の消失を来たしたか,甚だしく軽快した。特に滴状および貨幣状乾癬は主要な適応症である。大体の症例において平均20回の浴が必要であつた。但し重症の汎発例あるいは頑固な症例には更に浴の回数を増したことは勿論である。浴の回数は性,遺伝,発症時の年齢,疾患の経過の長さには関係がない。入院の期間は3〜5週間であつたが,休日は治療が休みであつたので,これが実際の治療期間ではない。(Knudsen, E.A. : Treatment of Psoriasis With Tar Baths, Brit. J. Der-mat., 75, 428, 1963)
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