文献紹介
熱傷の緑膿菌感染/Pyelonephritis and renal papillary necrosis—Prof. Dr. Einar Liunggren
pp.734,744
発行日 1963年8月1日
Published Date 1963/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491203567
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熱傷面は履々緑膿菌によつて汚染される。特に罹患面が尿に浸漬されやすい場合はそうである。この感染において警戒すべぎことは,皮膚深層を破壊するために,初めは表在的皮膚欠損であつたものが,皮膚全層の欠損に変ずることである。従つてできるだけ早く緑膿菌の存在を確認しなければならない。包帯を余り換えない最近の治療法の場合は,緑膿菌は,帯青緑色の膿を認めたとき,その存在が確められるし,また毎日包帯のにおいをかけば,猫の尿に似る独特なにおいでそれと分かることが多い。試験室の検査によると緑膿菌はポリミキシンBあるいは他の抗生物質に対して感受性を示すことが屡々であるが,しかし治療となるとその物質を用いても無効のこがと多い。それでかえつて古くから知られている方法が有効である。すなわち酢酸の0.5%水溶液をガーゼにひたし,これを傷面にあてて包帯する。包帯交換は1日3〜4回とする。3日以内には緑膿菌は傷面には存在しなくなるのである。この治療法は全く特異的で,他の細菌には功を奏さない。なおこの溶液は緑膿菌膀胱炎の膀胱洗滌に用いて甚だ効果的である。酢酸の吸収は全く問題とならない。たとえ僅か吸収されたとしても,酢を茶匙一ぱい口から飲む以上に有害ではない。(Thomas, G. K.:Pseudomonas Infection of Burns, Brit, Med. J., Jan. 19, 191, 1963)
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