治療のポイント
緑膿菌感染症
滝上 正
1
1横浜船員保険病院内科
pp.553-554
発行日 1969年5月10日
Published Date 1969/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402202656
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菌数の多少で診断を下せぬ
緑膿菌(以下Psと略す)感染症は,内科領域においては,きわめて少ない疾患である.Psを臨床材料から分離する頻度はかなり高い.しかし,材料中にPsが証明されたからといって,直ちにそれに病原性を求めてはならぬ.
尿路感染症では尿の定量培養法が行なわれ,100,000個/ml以上のPsを証明したときには,Psに病原性を求めることができるとされているが,この数に満たなくても,経過・化学療法施行の有無などを参考にして,病原性を考えねばならぬこともある.また,尿中に2回以上にわたりPsを証明すれば,たとえ菌数は上記に満たなくても病原性を疑うことになる.喀痰,大便,胆汁などにあっては,さらに慎重を要する.増菌法を用いると,Psは健康成人の60%において,大便内に証明される一また喀痰にあっては,入院患者の場合,増菌法を用いると約30%にPsが証明される.
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