Japanese
English
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蛔虫体腔液の抗白癬菌作用について
ASCARIS BODY CAVITY FLUID AS A NEW ANTI-TRICHOPHYTON AGENT
森下 哲夫
1
,
小林 瑞穂
1
Tetuo MORISITA
1
,
Mizuho KOBAYASHI
1
1岐阜県立医科大学寄生虫学教室
1Dept.of Parasitology, Gifu Prefectural Medical School.
pp.479-484
発行日 1963年5月1日
Published Date 1963/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491203515
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I.はじめに
著者らの教室では数年来土壊線虫の培養と分類を心がけてきた1)〜5)。土壊中に無数に存在する小線虫(1.5mm前後)がいわゆる土壌の浄化にいかなる役割を果しているかは種々論議されてきたところである。著者らの観察によれば土壌線虫Rhabditis spp.をK20培地に移植するさい初めに混在のカビが猛烈に増殖しやがて小線虫の増殖に伴つてカビがなくなつて行く。このことに興味をおぼえ土壌線虫の培養濾液や線虫のすりつぶしたものをカビの上にかぶせたが,みるべき殺カビ作用は得られなかつた。線虫がカビを消化するかも知れないと考え同じ線虫の仲間で形の大きい蛔虫を材料として,その体腔液を培養発育した白癬菌の上にのせた所その部がべたべたになつて行くことを知つた。このような状態を期待して蝸牛,ナメクヂ,蛙その他の各種体成分を同様にのせたが体腔液のように著しい作用はみられなかつた。三浦6)は細菌から得たキチナーゼによつて白癬菌が害を受けることを報告している。著者らは体腔液の白癬菌に対する為害物質の主体がキチナーゼと考えているが,好塩菌培養液で同様に追試した結果では体腔液の方が格段の差をもつて有害であると考えられる。
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