文献紹介
扁平紅色苔癬の治療,他
pp.332
発行日 1963年4月1日
Published Date 1963/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491203483
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扁平紅色苔癬およびその臨床的変形に対する確実な治療法は知られていない。場合によつて如何なる治療も無効にみえることがある。一般的にいつて発疹範囲と急性度を顧慮して,全身になるべく無影響な治療,すなわち局所療法から始めることが望ましい。範囲の狭い症例においてはコールタールによる局所治療を行うべきである。その際にも弱いパーセントのタール剤で始める。疣状扁平紅色苔癬にはこのほかプレドニソロン結晶懸濁液の局所注射が有効のことも屡々である。広汎発疹性あるいは天疱瘡様の紅色苔癬には全身療法を主とする。プレドニソンおよびプレドニソロン(1日20〜30mgを10日以上,のち2日間ごとに5mgを逓減)は急速な軽快を来す。しかし中止あるいは減量によつて再発することが多い。全身性コルチコステロイド療法を行う前に,常に大脳皮質あるいは皮質下を鎮静すべき薬剤,すなわちCalcibronat,Meproba-mat,PhenotiazineまたはBeller-galを与えるべきである。更にイソニコチン酸(体重キロ当り5mg)を試みるのもよい。これに反し砒素療法(アジア丸あるいはホーレル水)は,与えるとしたら老人にのみ適応する。特に治療の困難なのは粘膜紅色苔癬であり,粘膜にのみ発疹した例および天疱瘡形において生じた例については,コルチコステロイドを用いる必要がある。
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