Japanese
English
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扁平紅色苔癬の3例—色素性扁平紅色苔癬,二次的皮膚萎縮を伴つた扁平紅色苔癬,爪の変化を伴える扁平紅色苔癬
THREE CASES OF LICHEN RUBER PLANUS
鶴見 和弘
1
,
中西 文子
1
Kazuhiro TSURUMI
1
,
Fumiko NAKANISHI
1
1信州大学医学部皮膚泌尿器科教室
1Department of Dermatology and Urology, Faculty of Medicine, University of Shinshu.
pp.429-434
発行日 1961年5月1日
Published Date 1961/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491203055
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I.緒言
扁平紅色苔癬は1869年Wilson1)が始めて扁平苔癬として報告,後年Kaposiが紅色の2字を附し,Hebra氏尖圭苔癬とは同種異型の紅色苔癬と解せられた比較的稀な疾患で,Wilsonはその発疹の形態的特徴を述べ,幾つかの病型を分けたが,更にその後数多くの異型が報告され,定型的なものを除いては診断が困難なことが多い。
色素性苔癬の概念はObermiller2)(1923)が始めて確立し,皮膚色の濃い個体に発現する紅色苔癬の一頓挫型と見做した。類症はPirilä3),Edel4)等4)が記載した。本症とRiehl氏黒皮症,砒素黒皮症との異同については論議が多い。我国においては既に1922年坪田5),渡辺6),北村等7)がこれに類する症例を発表し,北村は色素性萎縮性扁平紅色苔癬なる名称を与え,その対称的占位と色素沈着及び脱失斑との交錯,沈着斑の帯紫褐色調と蝋様光沢,不明瞭な苔癬様小丘疹の網状集合を重視した。土肥は扁平紅色苔癬で特に色素沈着の著明なものに色素性紅色苔癬なる名称を与えた。本邦では30例近い報告があり,外国では,Frisch-man8),Rusch9),Gougerot10),Išuv11),Olivieret al.12)。等の報告をみるが,本邦よりは少いようである。
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