Japanese
English
皮膚科図譜・87
扁平紅色苔癬
Lichen ruber planus
北郷 修
1
Osamu Hongo
1
1関東逓信病院皮膚科
1Section of Dermatology, Kanto Teishin Hospital
pp.819
発行日 1958年8月1日
Published Date 1958/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491202322
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
37歳 家婦:2ヵ月前左前腕伸側に粟粒大のやや潮紅ある円形乃至多角形の扁平に隆起した小丘疹が単発し,掻痒強く掻把するうちに徐々に皮疹の数が増加,互に融合して米粒大,小豆大の皮表よりやや隆起した紅斑となり薄い白色の鱗屑を附着し,個疹の中には中央に臍窩の認められるものもある。このような皮疹が約1ヵ月の経過のうちに上肢,肩,背部,腹部,大腿前面に散在性にひろがり,紅斑の中には示指頭大に達するものもあり,Köbner氏現象の如く掻把した形にそつて線状に丘疹が排列したところもみられる。その組織像は軽度の角質増殖があり,顆粒層は増殖して2〜3層から5〜6層にまで及ぶところがある。表皮肥厚及び表皮突起の延長があり,有棘細胞の排列がやや乱れ,核の消失したものもある。基底層は真皮浅層の稠密な細胞浸潤により崩壊し,表皮真皮境界に裂け目を生じ,真皮の浸潤細胞の一部は表皮の有棘細胞間にも侵入している。真皮浅層に稠密な細胞浸潤があり,下方境界は大体水平線をなし,主としてリンパ球様小円形細胞及び組織球よりなり,表皮直下に小数の担色細胞をみる。本例は砒素剤が相当に有効であつた。
Copyright © 1958, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.