夜尿症の臨床的研究（第1編）—夜尿症の統計的観察

CLINICAL STUDY ON NOCTURNAL ENURESIS 1 : (STATISTIC OBSERVATION OF NOCTURNAL ENURESIS)

I．はじめに

　昭和36年5月金沢市で開かれた「日本泌尿器学会総会」において，我々は「夜尿症及び尿失禁の新手術療法並びに尿意発生に関する一考察」なる演題を発表した。之が日刊紙に報道せられた為，全国より多数の患者の来院，並びに文書による照会を受け，5月より同年10月末日までの半年間に来院患者154名，文書照会105通に達した。かかる短期間にかく多数の症例を得，且つその分布が全国に及んだ事は今までなかつたと思われるので，一応之を統計的に調査した結果について報告する。

　来院患者の地域別では東京，神奈川が圧倒的多数を占めるが，之は地理的関係によるものと思われる。全体的には北海道，東北，北陸等寒冷地に多い傾向がうかがわれるが，一面マスコミ関係の報道の大なるを考慮に入れる必要がある。