Japanese
English
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泌尿器科疾患に対するTrilafonの使用経験
ON THE EFFECTS OF TRILAFON IN UROLOGY
巾 拓磨
1
T. HABA
1
1東邦大学泌尿器科
1Department of Dermatology and Urology, School of Medicine, Toho University.
pp.1095-1099
発行日 1962年12月1日
Published Date 1962/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491203408
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I.緒言
現今の如く極度に高度化された文明社会に於いては,好むと好まざるとにかかわらず,個々の人間は大きなStressの中で生活することをよぎなくされる。しかし精神負担力に限界のある個人は,このような大きな圧力に抗するため,いくらかでも周囲からの影響を少くして,肉体的精神的生活に安定性をあたえたいと願うことも,当然のことであろう。このような必然性に答える如く,1950年フランスのCharpentierによつてChlorpro-mazineが合成された。そしてこの薬剤は,麻酔鎮静・鎮痙鎮痛或いは精神科疾患の治療等の臨床領域にも広く応用され,治療医学上多大の効果をあげるようになつた。又これを機として更に多くのChlorpromazineと同じPhenothiazineの誘導体が創製され,これらは所謂Tranquilizerとして時代の脚光をあび,その需要は日毎に増大している。当初は主として精神科領域に使用されていたTranquilizerも,最近では使用目的や応用範囲も拡大され臨床のあらゆる分野に及んでいる。
従来泌尿器科領域では,Chlorpromazineは夜尿症の治療や尿管結石の自然排出促進に使用された来たが,未だ他科の如く使用範囲は必ずしも多方面に亘つているとは思えない現状ではあるが自律神経系機能に対する関心が深まるにつれて,次第にその使用範囲も拡大されるものと考える。
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