紹介
Sulfamethoxypyridazineの投与後Stevens-Johnson症候群,他
pp.612
発行日 1962年7月1日
Published Date 1962/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491203313
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水疱性多形紅斑に兼ねて口腔粘膜の広汎な潰瘍を生ずる病変はSte-vens-Johnson症候群といわれる。この症候群とEctodermosis plu-riorificialis,Behcet症候群,Rei-ter病は何れも多形紅斑の異型であるとする考えもあり,これらを粘膜皮膚眼症候群として包括させようとする入もある。Stevens-Johnson症候群の原因は不明だが,薬剤に対する過敏反応として発生したとみられるものが厘々ある。著者は69歳婦人がインフルエンザ様病状のため19日間Sulfamethoxy pyridazineを投与せられ,本症候群を発生し,死亡した1例を報告した。従来本剤によつて本症候群を起こした報告は9例あり,そのうちの1例は敗血症で死亡している。Sirlfamethoxypyridhzine持続性スルフォンアミドとして広く用いられているが,軽い副作用として頭痛,嘔気,食思不進,発熱,めまい,関節痛,軽い発疹などを往々にして発生する。しかし重症の発疹,血液病,心筋炎,肝炎など重篤な副作用を生じた例もあり,そのうち5例は死亡している。水疱性多形紅斑の治療に対するステロイドの効果は確定的でない。著者の症例にはプレドニソンの大量を与え,発熱は阻止したが,一般症状ならびに皮膚症状は影響を受けなかつた。しかし極めて有効であつたとの報告もあり,重篤例には試みるべきであろうと思われる。
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