Japanese
English
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重症火傷の治療について—低温麻酔による火傷の治療経験例
THE TREATMENT OF SERIOUS BURN WITH HYPOTHERMIA
徳永 信三
1
,
渡部 美種
2
,
平林 洌
3
Shinzo TOKUNAGA
1
,
Yoshitane WATANABE
2
,
Kiyoshi HIRABAYASHI
3
1国立東京第二病院皮膚泌尿器科
2外科麻酔科
1Dept. of Dermato-Urology, The Second Tokyo National Hospital.
2Dept. of Anesthesiology.
3Intern.
pp.113-118
発行日 1962年2月1日
Published Date 1962/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491203218
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I.まえがき
重症火傷の治療は輸液の進歩,抗生物質,Ste-roid Hormon,人工冬眠療法の抬頭によつて,漸次その救命限界を拡げ,以前では手を拱いて傍観しなければならない程度の重症例でも治療のやり方如何では救命も可能な希望を持つ事が出来る様になつて来た。この様な例は大体火傷面積が全体表面の50%を超える様なもので,刻々と変つてゆく内部環境の動きによつて諸種の生命現象が一挙に破綻を来たす為矢次ぎ早に適切な手を打つ事のみが救命の緒口をつかむ事になる。その際遅疑逡巡する様では患者は忽ち不可逆性Shockに陥り,もはや手の施し様のない状態となる。
しかし乍ら我々が実際に重症患者に遭遇する時予期せざる種々の障害につき当り困惑する事が度々である。例えば広範囲な火傷であれば血管を出す事さえ苦心する事がある。又補液の問題にしても全血,血漿,膠質液,生食水の何れを選ぶべきか,又人工冬眠による自律神経遮断が果して良い結果を得るか否かなどすべて定説がなく,まして救命限界を超えた様な重症患者の治療では暗中模索の状態である。従つて重症患者の治療は今後多くの症例を重ねる事によつてのみ治療指針を確立する事が出来るものと考える。
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