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円形脱毛症の治療(第2報)—副腎皮質ホルモン内服療法,特にトリアムシノロンについて
THE TREATMENT OF ALOPECIA AREATA BY USE OF CORTICOSTEROIDHORMON:(ESPECIALLY THE EFFECT OF TRIAMCINOLONE)
今井 利一
1
,
岡本 昭二
1
,
竹内 達
1
Toshikazu IMAI
1
,
Shōji OKAMOTO
1
,
Itaru TAKEUCHI
1
1千葉大学医学部皮膚科
1Department of Dermatology, Chiba University School of Medicine
pp.45-51
発行日 1962年1月1日
Published Date 1962/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491203205
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I.まえがき
円形脱毛症の原因は未だ不明の域を出ない為に,治療にも病因的の療法が見当らない。臨床的乃至実験的成績から植物神経機能異常,局所栄養傷害,内分泌傷害,病巣感染乃至アレルギー,精神因子の介入などの諸説が一応主張されており,個々の症例の検索に当り,あるものにはこれを裏づける成績を認め得ることもあるが,必ずしも全例に共通の原因を確認し得る訳ではない。また,個々の症例に見出された検査成績から,これらに対応する治療を施行しても,必ずしも優秀な治療効果を挙げ得るものとは限らない。従つて本症の治療は専ら経験的にあるいは慣習的に行われているに過ぎないと言うべきである。
本症の治療に関する記載は枚挙に遑がない。新しい術式,新製剤の出現する度に幾多の追試,検討が行われているが,多くは一時的な流行として忘却されており,決定的な治療法とならなかつたことはその効果を裏書きしているものと思われる。更に本症に屡々症状の軽重,経過の長短とは無関係に出現する自然発毛があることは戒心すべき問題で,治効の決定,あるいは各種治療法の優劣の比較には誤謬を来す諸因子があるから,単に得られた発毛成績乃至予後のみを以て治療効果を云々することは危険である。
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