外国文献
ショックの胸管リンパ,他
pp.842-845
発行日 1964年6月20日
Published Date 1964/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407203365
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
乏血ショックでは再輸血後にもI131アルブミン(RI-SA)が肝・内臓領域につよく集まり,循環量回復後もRISAがこの領域の血管外に大量に出ていることを物語つている.したがつて血漿と血管外リンパとの蛋白交換という問題は一層の精査を必要とする.イヌ37頭を用い頸部で胸管にカニユーレ挿入,10分間隔でリンパを採取.そこでレゼルボアに脱血し動脈血圧を25〜30mmHgとし2〜2.5時間おき,輸血す.RISAは脱血前に注射したのも,脱血後注射したのもある.リンパ流量は前27.8±10.6ml/hから低血圧時19.9±8.6ml/hに低下するが,再輸血で32.7±18.8ml/hへ上昇した,脱血前期はRISA注10分後血漿の放射能は平衝に達し,以後,漸減する.脱血低血圧期にRISAを注入すると血漿放射能は急速に低下し30〜60分で平衡を得る.再輸血後の血漿放射能は急減することなく早く平衡となる.一方リンパの放射能は脱血前注でだんだん増加し,2時間後には血漿の50%(平均)に達する.脱血ショック期にも少し上昇の傾向を取るが,血漿放射能に比して33%(平均)にすぎない.再輸血後のリンパ放射能は急増し,2時間後には血漿の73%(平均)となる.以上の成績から,リンパは脱血2〜2.5時間のうちには,血漿量復元にあまり貢献していないということになる.
Copyright © 1964, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.