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思いつくまま(10) 就任に際して
籏野 倫
Hitoshi HATANO
pp.549
発行日 1961年6月1日
Published Date 1961/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491203078
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このたび,はからずも恩師故横山硈教授の跡をついで母校の皮膚科学講座を担当することとなつた。何分全くの若輩のこと,此の重責が無事つとまるや否やを懼れるものであるが,只管勉強に専念し,恩師の御名声を辱しめないようにつとめるつもりである。
それにしても横山先生の御逝去は,あまりにも突然であつた。日頃,極めて御壮健で風邪など召されることも殆どなく,血圧のことなどについては勿論一言も洩らされたこともなかつただけに,私共は安心していろいろ御無理を申上げて,御指導にあずかつていたものである。今にして思えば,殊に晩年近くには,先生は御気分のすぐれないことも多々おありだつたことと思われるのに,診断不能な症例に遭遇した場合など教授室に御願いに上がると,常に気軽に外来へ御出で下さつて,こまごまと御指導していただいたものである。
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