Japanese
English
原著
2〜3皮膚疾患特に脂漏性皮膚炎(湿疹)に対するTriamcinolone Aerosal Sprayの使用経験
TREATMENT OF ECZEMATOUS SKIN LESIONS, ESPECIALLY SEBORRHOIC DERMATITIS WITH TRIAMCINOLONE-SPRAY
古谷 達孝
1
,
香川 三郎
1
,
佐藤 允康
1
,
石原 文之
1
,
鳥居 ユキ
1
T. FURUYA
1
,
S. KAGAWA
1
,
N. SATO
1
,
F. ISHIHARA
1
,
Y. TORII
1
1東京大学医学部附属病院分院皮膚科
1Dermatological Section of Branch Hospital of Tokyo Usiversity
pp.503-506
発行日 1961年6月1日
Published Date 1961/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491203070
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I.はじめに
脂漏性皮膚炎(脂漏性湿疹)は周知の如く,被髪頭部,顔面,耳後部,腋窩部,臍窩部,外陰部等を好発部位とする疾患であり,在来の治療法では比較的難治とされており,特に被髪部頭では治療に抵抗し,しばしば剪髪を余儀なくされることがある。このことは治療上必要とは云え,女子並びに成人男子に耐え難き苦痛を与えるものである。近時炎症性,アレルギー性諸疾患にしばしば卓効を奏する副腎皮質ホルモンの全身療法も本症脂漏性皮膚炎においては,Cortisone以後出現した各種ホルモン全てが著効を奏するとは限らず,唯僅かにTriamcinolone,Dexamethasoneが比較的よく奏効するとされているにすぎない。又比較的小範囲の限局性湿疹,皮膚炎に対して著効を奏する各種副腎皮質ホルモン軟膏も,被髪部位を好発部位とする本症においては,しばしば毛髪,厚き脂漏性落屑,あるいは痂皮の故に,その使用を制限されることがあり,又その効果も必ずしも吾人を満足せしめるものではない。かくの如く本症脂漏性皮膚炎治療に際してはしばしば困難を感じ,このことは又患者に多大の苦痛を与えるものであるが,今回吾々はKenacort-A Sprayを脂漏性皮膚炎を主体とする2〜3皮膚疾患に使用し,一応見るべき治療成績を得たので,ここに簡単に報告したい。
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