Japanese
English
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潜在性腎腫瘍(Occult Hypernephroma)の搏動性骨転移
PULSATING METASTASIS OF SCAPULA FROM AN OCCULT HYPERNEPHROMA
山下 源太郎
1
,
井川 欣市
1
,
高橋 浩平
2
Gentaro YAMASHITA
1
,
Kinich IGAWA
1
,
Kohei TAKAHASHI
2
1札幌医科大学皮膚泌尿器科学教室
2札幌医科大学胸部外科学教室
1Department of Urology & Dermatology, Sapporo Medical College
2Department of Chest Surgery, Sapporo Medical College
pp.347-350
発行日 1961年4月1日
Published Date 1961/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491203035
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I.緒言
腎腫瘍の初発症状は血尿,腎部腫瘤であり,これら症状が出現する頃には腎臓に於ける病巣は既に相当進展して遠隔転移を来していることが比較的多い。これは腫瘍の腎静脈壁への浸潤,腫瘍細胞の静脈栓塞等が早期に,あるいは原発巣が未だ小さなうちに生ずることによるもので患者が何らかの局所症状を訴える遙か以前に遠隔部位に転移を起すことも時に経験するところである。かような潜在性の腎腫瘍(occult hypernephroma)が転移を初発症状として来た場合には種々雑多な症状のため惑わされる。吾が教室では既に本腫瘍の単発性腟転移を経験しているが(高井・他),最近肩甲部打撲後,同部に有痛性搏動性腫瘤を認めるようになり胸部外科に於て血管腫あるいは外傷性動脈瘤を疑つたが術後の組織学的検索によりGrawitz腫瘍の単発性,搏動性骨転移症例であることが判明し,腎に於ける原発巣の追求を試みた非常に興味ある潜在性腎腫瘍の搏動性骨転移の1例を経験したので報告する。
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