皮膚粘膜眼症候群について—臨床的観察

ON MUCO-CUTANEO-OCULAR SYNDROME : ITS CLINICAL OBSERVATION

I．緒言

　皮膚粘膜眼症候群に属する疾患は種々の名称をもつて報告されているが，その分類ならびに病因については未だ確定されていない。本症候群については，1876年Fuchs^1）がHerpes iris conjunc-tivaeを記載したのを嚆矢とし，その後次々と新病名を冠した報告がある。即ちEctodermose　érosi-ve pluriorificielle，Stevens-Johnson's syndrom，Behcet's triple syndrom complex，Derma-tostomatitis，Reiter's syndromなどである。

　我々は，昭和21年より33年6月までの12年6ヵ月間に，北大皮膚科を受診したMuco-cutaneoocular Syndromeに属すると思われる14例について，各病型に分類し，その臨床症状，検査成績，治療，予後などに関して臨床観察を試みたので，その結果を報告する。