Japanese
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Diphenylpyraline誘導体の皮膚科領域に於ける治験—(その2) Hystaminによる成績
TREATMENT OF THE SKIN DISEASES WITH DIPHENYLPYRALINE DERIVATIVES.:2. REPORT. RESULTS OF THE TREATMENT WITH HYSTAMIN
佐藤 幹男
1
,
大浦 武彦
1
Mikio SATO
1
,
Takehiko ŌURA
1
1北海道大学医学部皮膚科教室
1Department of Dermatology Hokkaido University School of Medicine
pp.1273-1276
発行日 1959年11月1日
Published Date 1959/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491202693
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DiphenylpyralineはSohulerにより合成されたN-Alkyl-Piperidyl-benzhydryl etherに属する抗ヒスタミン剤であるが,現在このものの誘導体が2種使用に供されている。我々は今回その内の一つであるHysta-min (Eisai)を使用する機会を得たので,その成績を報告する。
HystaminはN-Methyl-piperidyl-benzhydryl et-herの塩酸塩で,その化学構造は第1図に示す如くである。白色粉末状結晶を呈し,水,アルコールに溶け,クロロフォルムに難溶である。熱,光,酸及びアルカリに安定で,融点は206℃。本剤の薬理作用の特徴を従来の抗ヒ剤と比較すると,抗ヒ作用以上に抗アセチルコリン作用が強力で,著明な副交感神経麻痺作用を有し,副交感神経刺激やアセチルコリンによる血圧下降ピロカルピンによる唾液分泌亢進等を著明に抑制する。瞳孔散大作用もあるが,これはアトロピンより遙かに弱く,交感神経に対する作用は顕著でない。更に局所並びに中枢性麻酔作用及び毛細管透過性の抑制作用が著明で,塩化バリウムによる腸管収縮は拮抗作用を有する。又,かかる作用のほかに真菌の発育抑制作用のあることが認められている。毒性は極めて少く,マウスの腹腔内注射でLD50は108mg/kg,静脈内注射では31mg/kgとされている1)2)。
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