Japanese
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特集 婦人の皮膚泌尿器科疾患
女子膀胱炎に就いて
CYSTITIS IN WOMEN.
清水 圭三
1
,
瀬川 昭夫
1
Keizo SHIMIZU
1
,
Akio SEGAWA
1
1名古屋大学泌尿器科
1Department of Urology, School of Medicin, Nagoya University.
pp.1029-1036
発行日 1959年10月1日
Published Date 1959/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491202654
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I.緒言
膀胱炎とは頻尿,排尿時疼痛及び膿尿を主症状とする膀胱の炎症である。しかし乍ら通常は尿路生殖系及び消化器系病巣から二次的に血行性又は淋巴性に発生するか或いは直接感染,更に全身症,例えば糖尿病,腎炎,脊髄瘍等の一分症として現われ,限局した感染による膀胱自体が原発巣となる事は少ないと云われ,従つて女子特有の膀胱炎はないが,女子の尿路生殖系は局所解剖的及び機能的に性器,肛門等と密接な関係があり,細菌感染或いは種々の障害を非常に起し易い状態にあり,更に妊娠,分娩,産褥等はこの発生を一層助長する結果となつている。
我が教室に於ける1954年より1958年迄の5年間,外来患者総数は9618名で,その中,男子は7393名,女子2225名であつた。この中,膀胱炎と診断された患者は,膀胱腫瘍,腫瘍性膀胱炎或いは膀胱結石等の異物性膀胱炎を除いて男子842名(11.4%),女子732名(33.0%)で,はるかに女子膀胱炎の割合が多く,外来女子患者を取扱う上に於いても極めて重要な疾患であると考えられるが,一般臨床では急性及び慢性,或いは原因的に無菌性,特殊感染性,非特異的感染性膀胱炎等と極めて簡単に分類され,又,治療的にも抗生物質,スルフア剤等の化学治療が急速に進展しつつある今日に於いても尚且つ屡々,頑固な膀胱炎に遭遇する機会が,特に女子患者に多い事は臨床家の日常経験する所であろう。
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