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特集 婦人の皮膚泌尿器科疾患
進行性指掌角皮症
KERATODERMIA TYLODES PALMARIS PROGRESSIVA (DOHI).
溝口 周策
1
Shusaku MIZOGUCHI
1
1日本専売公社東京病院皮膚科
1Tokyo Hospital, Japan Monopoly Corporation.
pp.995-1001
発行日 1959年10月1日
Published Date 1959/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491202649
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1.はじめに
進行性指掌角皮症という疾患は大正13年土肥(慶),三宅により一独立疾患であろうと提唱されたのが最初で,肢端乾燥症(旭) Acroxerosis,手掌乾燥症(於保) Xerosis palmaris,乾燥性手掌皮膚炎(於保) Dermatitis exicans palmarisはその異名である。外国の文献には殆んどみられないが先に来日したRothman教授は本症の写真をみてその独立性を認めたかたちである。即ち日本に特有な疾患と考えるべきだが,本邦の皮膚科書のあつかい方をみると多くは角化症の項に入れるが,炎症性角皮症に入れているのもある。余は後者が適当だと考える。
本症の原因,本態等については北村(精),河辺,溝口,山田等の研究報告があるが,いまだ決定的なものはない。患者の大多数が思春期後の青年女子であることから病因として内分泌ことに性腺機能異常が取上げられる一方生活環境因子(外因)を重視し接触皮膚炎に近いものとする説もましている。多数の症例をみていると本症と胼胝性湿疹,亀裂性湿疹との間には移行形があり判然とは区別しがたい場合もあるが,本症の臨床所見には特異な点が多いのでこれを一独立疾患又はentityとして扱うのは正しいと思う。
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