Japanese
English
特集 老人の皮膚泌尿器疾患
老人性皮膚疾患の統計的観察
A Statistical Observation of Senile Skin Diseases
樋口 謙太郎
1
,
占部 治邦
1
,
徳水 博巳
1
,
阿部 志朗
1
Kentaro HIGUCHI
1
,
Harukuni URABE
1
,
Hiromi TOKUNAGA
1
,
Shiro ABE
1
1九州大学医学部皮膚科教室
1Dept. of Dermatology, School of medicin, Kushiyu University
pp.1346-1356
発行日 1958年12月20日
Published Date 1958/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491202431
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緒言
老人性皮膚疾患は年齢的な皮膚の老化現象に由来する疾患を指すものと考えられるが,その初発年齢にはかなり個人差があり,たとえば伊崎氏はいわゆる狭義の老人性疾患とみなされている老人性色素斑,老人性疣贅,老人性白斑,菱形皮斑,白髪等10種の病変について統計的に調査し,これらの疾患はいずれも性別を問わず30歳代にその発現が期待され,発現率は年令とともに増加するとのべ,また江尻氏は年令的皮膚変化に最も主要な役割を果す真皮上層の弾力線維の変性はすでに20歳代にはじまり,年齢の増加と平行いてその変化が増強すると主張いており,老人性皮膚変化およびそれを基盤とする疾患は予想外に早期に出現するものである。いたがつて老人性という呼称が適当でない疾患もあり,また逆に老人の年齢的境界線をどこに引くべきかという点から考えても興味深いものがある。そいてまた,その原因も単に皮膚の老化に起因すると一概に割切つて解釈できない問題が含まれており,遺伝,環境,内分泌等の影響も重視されている。
われわれは養老院に収容されている主といて50歳以上の男女を対象とし老人性皮膚疾患を調査したので,その年齢的,性別的発現率,発生部位等についての調査成績を,すでに報告された小玉,伊崎氏らの報告と比較しつつ記載し,その原因に関いて考察を加える。さらに老人に頻発する広義の老人性皮膚疾患については当科外来患者を対象といて統計的に観察いたのでその成績をも附記することにする。
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