Japanese
English
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カルニゲンの凍瘡に対する治験
TREATMENT OF PERNIO WITH CARNIGEN
籏野 倫
1
,
池田 直昭
1
,
臼井 紀一
1
Hitoshi HATANO
1
,
Naoaki IKEDA
1
,
Kiichi USUI
1
1慶応義塾大学医学部皮膚科泌尿器科教室
1Department of dermatology, School of medicine, Keio University
pp.1241-1246
発行日 1958年12月1日
Published Date 1958/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491202414
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緒言
一定の寒冷に一定の時間曝されれば誰にでも起り得る凍傷は別として,特定の人にのみ起り,特に激しい寒冷でなくても,或る程度の低温が慢性に作用するだけでも起る凍瘡の原因については種種議論の存する所である。
伊藤は,副交感神経及び交感神経の緊張の失調状態から起ると云い,加藤は副交感神経緊張者で血圧が低く脈圧の小さいものが起し易いと述べ,富田は自律神経不安状態から発して,血管運動神経の機能変調→小動脈の縮小→毛細血管拡張→皮膚血流障碍→皮膚の低温という一連の経過を推測し,大森,小俣,太田等は血圧の低い場合に起り易いと云い,小石によると,血管不全麻痺により欝血を来し,この局所に異常分解が起り「ヒスタミン」様物質を生じ,これが血管の透過性を高めると述べている。その他にも,寒冷自家血球凝集反応や血管内赤血球凝集等の血液自体の変化に凍瘡の原因を求める一派もある。しかし何れの学説を取りあげてみても,要は末梢血流の障碍,欝血,血管脆弱等が凍瘡を起す最後の段階であり,治療も自律神経不安等の素因的なものより寧ろ末梢循環促進や血管の強化の方に力が注がれている様である。然しながらこれらの療法は常に完全に有効とは限らず,人によつては相当の治療を受けながら尚不変という場合が屡々みられる。
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