Japanese
English
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Azulen含有軟膏による治験
TREATMENT OF SOME SKIN DISEASES WITH AZULEN OINTMENT
藤浪 得二
1
,
橋本 基
1
,
岡田 一夫
1
Tokuji FUJINAMI
1
,
Hajime HASHIMOTO
1
,
Kazuo OKADA
1
1大阪大学皮膚科学教室
1Department of Dermatology, Osaka University School.
pp.1123-1126
発行日 1958年11月1日
Published Date 1958/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491202389
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カミツレ花の有効成分Cham-Azulenと同一薬効を有する合成アズレン化合物Guaj-Azulenを含有する軟膏(Azunol軟膏)を用いて次の如き成績を得た。
(1)第1群の糜爛性皮膚疾患18例に対しては殆んど全例に奏効し,湿潤面は2〜3日中に新表皮の形成により被われ,分泌は去つて乾燥し,それと共に炎症徴候の速かな滅退を認めた。就中フラシン軟膏,ペニシリン軟膏で治癒傾向を示さなかったものが,Azunol軟膏使用で速やかに治癒に赴いた例のあったことは,特殊なAzulenの作用の存在を示すものとして注目すべき知見である。
(2)第2群の比較的湿潤の少い皮膚疾患80例に対してもAzunol軟膏は極めて満足すべき結果を示した。比較的急性期による皮膚炎並びに湿疹に対して本剤はいずれの病型のものに於ても甚だ有効であつた。然し慢性のものに対しては或程度の好転は認めたが皮膚の肥厚等は消失せしめ得なかった。
(3) Azunol軟膏は極めて安全で,刺激症状を惹起する危険は殆んど皆無である。比較的過敏な皮膚及びハイドロコーチゾン軟膏(基剤による刺激か)等によつて著しい悪化を来した例に対しても使用し得てしかもよく奏効する事は,本剤の優れた特徴として挙げることが出来る。
(4) Azunol軟膏は悪臭を有せず又塗布後に着色を見ない点から,殊に顔面に応用して患者に好感を与える。
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