Japanese
English
原著
皮膚スポロトリコージスの研究—その臨床的および病理組織形態学的観察
A CLINICO-HISTOPATHOLOGICAL INVESTIGATIONS OF CUTANEOUS SPOROTRICHOSIS
北村 啓次郎
1
,
原田 敬之
1
,
西川 武二
1
,
籏野 倫
1
Keijiro KITAMURA
1
,
Takashi HARADA
1
,
Takeji NISHIKAWA
1
,
Hitoshi HATANO
1
1慶応義塾大学医学部皮膚科教室
1Department of Dermatology, Keio University School of Medicine
pp.853-859
発行日 1975年10月1日
Published Date 1975/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412201494
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昭和37〜49年に慶大皮膚科で経験した皮膚スポロトリコージス28例の臨床統計で,28例中23例,82.1%が限局性皮膚型であつた.ついで,パラフィンブロック借用可能であつた8例を加え36例につき病理組織学的に検討した.本症の組織像は基本的には慢性非特異的肉芽腫性炎であるが,組織内出血(鉄染色で確認),好中球による組織内小膿瘍,毛細血管の増生拡張および浮腫を高頻度に認め,3層構造,細胞増殖圏,星芒状体の存在など若干の特徴が加わる.しかし定型的な3層構造は稀で,リンパ球,形質細胞,線維化が混在し,複雑な組織所見を呈するものと老えた.組織内菌要素では遊離胞子が多いが,胞子の大小不同多形性,分芽胞子も認めた.さらに菌体破片の如き顆粒状小体の存在に注目し,これらの小体は螢光抗体法で特異螢光を発することより菌体の一部と考えた中これら菌要素の多くは組織内小膿瘍の中および近辺にみられ,そこにある種の生体反応系を想定した.
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